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毎日新聞 2021/11/4 08:00(最終更新 11/4 09:42) 有料記事 1747文字




 プリンターの設計を変更して自社製以外のインクを使えないようにしたのは違法だとして、東京地裁が9月、メーカーの「ブラザー工業」(名古屋市)に約150万円の賠償を命じる判決を言い渡した。背景には、インクカートリッジを巡る「純正品」と「非純正品」の長い闘いの歴史がある。消費者のためになる製品とは何か。訴訟を通じて素朴な疑問を考えた。

設計変更は「不当な抱き合わせ」
 東京地裁の訴訟は、非純正品のインクを販売する「エレコム」(大阪市)側が2019年12月、ブラザー工業に約1570万円の損害賠償と設計変更の差し止めを求めて起こした。

 ブラザー工業は18年12月、同年9月に発売したプリンター内部に新たな回路を設置。一定の電流量を検知した場合はインクが使えなくなるようにした。これにより、インクが使えなくなったエレコム側は「市場からの不当な排除で、独占禁止法違反に当たる」と主張し、ブラザー工業は「設計変更は異物の混入による過電流防止が目的」と反論した。



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