https://mainichi.jp/articles/20211104/k00/00m/020/289000c

毎日新聞 2021/11/5 06:00(最終更新 11/5 06:00) 有料記事 2097文字




 原油をはじめ、さまざまな輸入品の価格が上がり、日本経済の回復の重しになる懸念が強まっている。従来は輸出に不利になる円高が悪者扱いだったが、最近は輸入品の価格を押し上げるとして「悪い円安」論が叫ばれ始めた。円安は「悪い」のか。現場の声から事情を探った。【竹地広憲、釣田祐喜、池田美欧】

コロナとの「ダブルパンチ」
 「運輸業界は新型コロナウイルスの打撃をまともに受けてきた。燃料費の高騰はダブルパンチだ」。国内有数の観光地、奈良市に本拠を構え、路線バスや観光バスを運行する奈良交通の後藤秀雄・自動車事業本部副本部長は、バスの燃料である軽油の価格高騰に頭を抱える。軽油の価格はここ1年で1リットル当たり20円以上も上昇し、後藤さんは「年間で億単位のコスト増になり、バス会社を直撃している」と話す。

 バス業界は昨年以降、試練に見舞われてきた。…

この記事は有料記事です。
残り1730文字(全文2097文字)