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毎日新聞 2021/11/5 16:50(最終更新 11/5 16:52) 950文字




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豊田市役所

 愛知県豊田市立小の放課後児童クラブで、責任者を務める元市立小校長の70代男性が児童に威圧的な発言を繰り返し、市が「行き過ぎた指導だ」として元校長を担当から外すようクラブの運営法人に改善指導していたことが5日、市などへの取材で判明した。市は保護者らから、元校長が夏の炎天下に屋外で遊ばせるなどの不適切な行為も確認。4月から市に苦情が寄せられ、法人側に繰り返し指導していたが、元校長が担当を外れたのは11月2日だった。

 市によると、クラブは社会福祉法人「大和社会福祉事業振興会」(同県小牧市)が受託運営し、元校長は2019年9月に別のクラブから赴任した。クラブには1〜4年の児童約100人が登録し、元校長は授業終了後、校内の施設で子どもたちの遊びや運動、勉強などの見守りをしていた。



 豊田市などによると、元校長は児童らが騒いだ際に「おまえら、異常だ」などと発言。児童が自分を「俺」と言った際には「おまえ、バカヤロー」「ふざけんな」「誰にもの言っとるだ」などと大声で繰り返した。

 また、今夏には日差しの強さから計算される「暑さ指数」が、運動中止を呼びかける基準となる「31」を超えていたにもかかわらず強制的に屋外で遊ばせ、熱中症の疑いのある児童が複数出たという。同市では18年7月、小学生が校外学習後に熱中症で死亡する事故が起きている。



 苦情は4月以降だけで市に複数回寄せられ、市はそのつど法人に指導した。市は8〜9月に児童にアンケートをし、10月に回収したところ、「元校長が怖い」との記述が複数あり、改善されていないことが判明した。事態を重く見た市は11月1日、法人の担当者を呼び出し、元校長を担当から外すよう求め、10日までに改善報告書を提出するよう求めた。元校長は2日から担当を外れ、保護者らには病欠と説明されている。

 市次世代育成課の宇佐美由紀課長は毎日新聞の取材に「行き過ぎた指導だ。人権侵害でもあり、児童の前には立たせられない」と説明。他に被害が無いか、保護者への聞き取りも予定しているという。元校長は同法人の聞き取りに「自分にとっては普通の指導のつもりだった」と釈明しているといい、同法人の長屋太志理事は「児童に恐怖を抱かせてしまい、申し訳ない。認識が甘かった」と話している。【川瀬慎一朗】