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2021/11/06(土) 18:24:11.67ID:nCtcs2Co9毎日新聞 2021/11/6 16:23（最終更新 11/6 16:23） 1111文字
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福岡市役所＝福岡市中央区で2019年2月24日、森園道子撮影
知らないうちに元夫に同じ部屋に住民登録された福岡市のひとり親女性（55）が、市から事実婚状態にあるとみなされ、児童扶養手当の支給を打ち切られた上、返還も求められていた問題で、市は返還請求を撤回した。打ち切っていた期間の手当もさかのぼって支給すると決め、女性に対応の遅れを謝罪した。
女性は、病死した前夫との間の長女を養育し、低所得のひとり親家庭に対する月額約4万3000円の児童扶養手当を受けていた。しかし、2020年8月、収入やパートナーがいない状況を毎年報告するよう手当受給者が求められている「現況届」を区役所に出した際、女性が住むアパートの部屋に半年前から男性が住民登録していると指摘され、職員に促されるまま手当の資格喪失届を書いた。その結果、手当は打ち切られ、男性が住民登録した時期にさかのぼって半年分の手当約26万円の返還も迫られた。
男性は20年以上前に離婚した元夫だった。住所不定の元夫は国民健康保険証を取得するため、19年12月、女性の部屋に勝手に住民登録していた。女性は今年6月、支援者の協力も受けて、元夫が▽勝手に住民登録した▽住民登録した期間を含め女性と同居しておらず、長年交流もない――などと認めて署名した「申出書」を市に提出した。
市は元夫が申出書で住民登録した理由に挙げた医療機関の受診状況などを調査し、10月11日付で女性の資格喪失処分を取り消した。これにより、返還請求は撤回され、元夫が住民票を女性宅から別の場所に移すまでの間打ち切られた4カ月分の手当約17万円も支払われることになった。
女性によると、市の職員から住民登録の事実を指摘された際に「同居していない。家に見に来てもいい」と訴えたが、当時調査はなかった。女性は「身に覚えもないのに急に手当を切られ生活が苦しかった。事前に調べるなど慎重に対応してほしかった」と語った。
厚生労働省は児童扶養手当の支給手続きの際は、住宅ローン返済のため元配偶者が同一住所に住民登録を残すケースなどを例に挙げ、実態を調査して総合的に判断するよう自治体に求めている。
市は資格喪失処分の取り消しを女性に通知するため郵送した文書で「回答に時間がかかり、深くお詫（わ）びする」と謝罪。区子育て支援課は、毎日新聞の取材に今回の判断の理由を「事実婚が成立したとまでは言えない」と説明した。一方で、当時の対応に問題がなかったかについては「判断材料がない」と明言を避けた。その上で「『（窓口で）十分に聞いてもらえなかった』という女性の話は聞いている。市民それぞれに事情があり、（区役所の）窓口ではしっかり市民の話を聞くよう改めて徹底したい」と述べた。【青木絵美】
