https://www.sponichi.co.jp/society/news/2021/11/07/kiji/20211106s00042000667000c.html
[ 2021年11月7日 05:30 ]

https://www.sponichi.co.jp/society/news/2021/11/07/jpeg/20211106s00042000708000p_thum.jpg
山口3区で当選を決めた自民党の林芳正元文科相
Photo By 共同

 岸田文雄首相は、外相に林芳正元文部科学相(60)を起用する意向を固めた。関係者が6日、明らかにした。林氏は岸田派所属で首相と近い関係にある。政策通として知られ、山積する外交課題への対応には適任と判断したとみられる。10日の第2次岸田内閣組閣に合わせて正式に任命する方針。

 林氏は防衛相や経済財政担当相、農相を歴任。米ハーバード大大学院卒で英語はネーティブ並み。米政界に太いパイプを持つと同時に、日中友好議員連盟会長を務める「知中派」でもある。参院議員を辞職して、10月の衆院選で山口3区に鞍替え出馬し当選。将来の首相を目指しており「この国のかじ取りをしっかりやっていくという思いで、さらに研さんを積んでいきたい」と思いを語っていた。

 要職も射止めた林氏が存在感を増すことで、隣の山口4区を地盤とする安倍晋三元首相にとってはますます脅威となる。安倍氏は10月の衆院選で前回並みの10万票を目指したが、結果は約8万票と前回から2万票も減少。求心力に陰りが見えた。次期衆院選から山口県の選挙区は定数4から3に削減される見込み。現職4人のうち1人は地盤を手放すことになることから、安倍氏は林氏らとの仁義なき公認争いが待ち受ける。

 党内の権力闘争もし烈なものとなりそうだ。林氏がNo・2の座長を務める「宏池会」(岸田派)には「大宏池会」構想がくすぶる。これは同根の麻生派、谷垣グループと再結集して「保守本流の名門派閥」復活を目指す構想。実現すれば、最大派閥・細田派をしのぐ100人超の一大勢力になる。

 首相は右腕の林氏を外相に据え、同じく保守本流の流れをくむ旧竹下派の会長代行を務める茂木敏充前外相を幹事長に起用。構想の枠組み構築につながる流れもできつつある。派内には「10年は宏池会で政権を担いたい」との声があり、林氏が「大宏池会」の“ビッグボス”として君臨する可能性もある。

 細田派から安倍派への衣替えが近づく安倍氏。キングメーカーとしての地位を維持していく上で、林氏が大きな障壁となる場面も出てきそうだ。