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毎日新聞 2021/11/7 18:20(最終更新 11/7 19:56) 941文字




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 福岡県警が、これまで家族との同居が原則だった駐在所の勤務について、来春から単身赴任も認める方向で勤務条件を緩和することにした。共働き世帯の増加などを背景に一律に家族帯同を求めていた人事異動が時代に合わなくなってきたためだ。県警によると、既に全国の警察で勤務条件の緩和は進んでおり、家族帯同を原則としているのはこれで京都府警のみになったという。駐在所での働き方が変わってきている。

 駐在所は警察署の出先の一つで、3年程度の周期で警察官が着任するのが一般的だ。福岡県内には町村部を中心に107カ所あり、赴任した警察官は駐在所兼住居に家族と住み込んで業務に当たってきた。



 なぜ家族帯同が求められてきたのか。警察官がパトロールなどで駐在所を不在にする時は配偶者が住民の訪問に応対でき、夫婦で行事に参加するなど地域密着の勤務形態で地域住民の安全安心につながるとされてきたからだ。配偶者手当が支給される代わりに配偶者は無職が原則で、パートも禁止されていた。

 しかし、県警によると、駐在所勤務が多い30代で持ち家を購入する共働き世帯が増え、家庭の事情や、住居兼の駐在所の老朽化を理由に敬遠されるケースが目立つようになったという。



 県警は、職員のライフスタイルの変化に対応しないまま現状の勤務条件が続けば、将来的に駐在所の担い手不足に直面する恐れがあると判断。勤務条件の緩和を検討したところ、福岡と京都以外の都道府県警察は既に家族帯同を原則としていなかったことが分かり、運用を見直すことにした。

 来春の異動から適用する運用では、警察官の単身赴任だけでなく、配偶者のパートも認め、配偶者手当はパート収入に応じて減額を検討。過去に家庭の事情で駐在所勤務ができなかったベテラン警察官にも門戸を広げ、希望者を募る。また、県警は、老朽化した駐在所の建て替えも順次進めていく方針だ。



 県警警務課の佐藤治夫統括管理官は「家族の帯同が好ましいが、地元の要望も踏まえ、職員のライフスタイルに合った柔軟な駐在所勤務のあり方を模索していきたい」としている。

 一方、公募条件に家族帯同を原則とし、府内に98カ所の駐在所を抱える京都府警は「駐在所勤務を巡る全国的な情勢は承知しており、緩和は検討段階」としている。【飯田憲】