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2021年11月13日07時37分

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中国共産党の習近平総書記(国家主席)=10月9日、北京(AFP時事)




 【北京時事】中国共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)が11日に採択した「歴史決議」は、党100年の歩みの総括とは程遠い自己肯定一色で、習近平総書記(国家主席)礼賛に終始した。党の担当者は12日の記者会見で「個人崇拝」を正当化。欧米の民主主義とは全く違う価値観の大国を今後も、習氏が長期にわたって率いることが確実になった。


 「習総書記は多くの人が望む、恥ずかしくない党の核心、人民の領袖(りょうしゅう)、軍隊の統帥になった。時代が呼び、歴史が選んだ」
 決議の起草に当たった党中央政策研究室の江金権主任は12日の記者会見で、毛沢東に使われた呼称「領袖」を用い、習氏を最大限に持ち上げた。
 毛への過度な権力集中が文化大革命(1966〜76年)の悲劇を招いた反省から、トウ小平は81年の歴史決議に「いかなる形式の個人崇拝も禁止する」と明記し、党規約にも盛り込んだ。それだけに、江氏は「トウ同志は『どんな指導集団にも核心が必要だ』と指摘していた」とも強調し、習氏への「個人崇拝」を正当化した。実際、この日の会見で言及された歴代指導者は、この時のトウだけで、あとは「習氏一色」だった。
 会見では、決議に盛り込まれた「全過程人民民主」も話題となった。習氏が2019年ごろから使い始めたもので、普通選挙で民意を問う欧米式の民主主義とは違う「中国式民主」を指す。江氏は「民主は西側諸国の専売特許ではない。教師面した説教は受け付けない」と述べ、香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧などをめぐる欧米からの批判に動じない姿勢を鮮明にした。
 決議採択から一夜明けた習氏は12日、共産党が指導する民主党派の代表との座談会に出席し、「世界は過去100年経験したことのない非常事態にあり、わが国は中華民族の偉大な復興を実現するための鍵となる時期にある」と強調。難局を乗り越え、中国を強国に導く自負をにじませた。