https://www.sankei.com/article/20211113-4VVVNEJFFNLBVDFB7ARTSZ2NXI/
2021/11/13 21:10


防衛省が経済安全保障に関する情報収集態勢を強化するため、来年度から専従職員を新たに置くことが13日、分かった。数人規模から開始し、必要に応じて人員の拡充や専門組織の新編も視野に入れる。サイバー攻撃や工作員の活動などを通じて先端技術の獲得を狙う中国の動向を把握・分析し、適切な保全措置につなげる狙いがある。複数の政府関係者が明らかにした。

防衛省は今年4月、各国の軍事情勢や兵器の分析業務などを担う防衛政策局調査課に「経済安全保障情報企画官」を新設した。経済安保に関する情報の収集や分析、保全を目的に課内を横断的に総括する。ただ、情報企画官以外に専従で経済安保を担当する職員はいなかった。

このため、来年度から国外情報の収集に当たる「戦略情報分析室」や国内情報の収集整理を担う「情報保全企画室」、人的情報に関する「調査研究室」など課内の各室に専従職員を置く方向だ。

米中など主要国は軍事転用可能な先端技術の獲得にしのぎを削る。特に中国はサイバー攻撃のほか、投資や学術研究なども駆使し、日本を含む各国の機微技術に関する情報の獲得を狙う。防衛省はこうした中国の動向や意図を正確に把握・分析し、防衛関連企業や経済産業省をはじめとする関係省庁と共有することで流出を防ぎたい考えだ。情報企画官を支える態勢を強化することで、情報収集・分析の幅や精度が広がることを期待する。

このほか、防衛関連の中小企業を対象に、サイバーセキュリティー向上のための支援制度も来年度から開始する。経済安保に絡む先端技術に関し、防衛省関係者は「『知る』『守る』『育てる』の観点から取り組むことが重要だ」と説明する。