https://www.jiji.com/jc/article?k=2021111701259
2021年11月17日23時39分




 【ベルリン、カイロ時事】ロイター通信などによると、国際原子力機関(IAEA)は17日にまとめたイランの核開発に関する報告書で、テヘラン近郊のカラジにある核施設で、破壊・撤去された監視カメラの再配備ができていないことを明らかにした。
 イランと主要国は29日、ウィーンでイラン核合意の再建に向けた交渉を開く。8月にイランで反米保守のライシ政権が発足して以来、初の正式な交渉だが、合意再建の必須条件である核施設の監視がままならない状況で、協議が進展するかは不透明だ。
 また、イラン原子力庁報道官は17日、IAEAのグロッシ事務局長が22日からイランを訪問し、アブドラヒアン外相らと会談すると表明。核査察の問題や核合意再建交渉について協議するとみられる。
 イランとIAEAは9月12日、カメラによる核施設監視を継続することで合意。しかしイランのガリババディ在ウィーン国際機関代表部大使は9月27日、カラジの施設は破壊工作の被害を受けており、「合意の対象外だ」と主張していた。
 IAEAはまた、この日の報告書で、核合意で認められていない濃縮度60%のウランを、イランが合計17.7キロ製造したことも明らかにした。9月の報告書時点の10キロから増加した。ウランは濃縮度90%を超えると核兵器に転用できるとされる。