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毎日新聞 2021/11/19 13:34(最終更新 11/19 13:34) 778文字




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 米司法省は18日、2020年の米大統領選を巡って偽情報を流したり、民主党支持者に対して共和党のトランプ前大統領に投票するよう脅迫したりしたとして、イランのサイバーセキュリティー企業に勤務する男2人を電子的詐欺などの罪で起訴したと発表した。米国務省は2人を含む容疑者グループの特定や所在に関する情報に最高1000万ドル(約11億4000万円)の報奨金を支払うと明らかにした。

 この企業はイラン革命防衛隊やイラン政府のサイバーセキュリティーにも関わっているとされ、米財務省は企業幹部らを含む計6人に米国内における資産凍結などの制裁を科した。



 司法省によると、起訴された2人は20年9〜10月ごろ、米国内の複数の州のウェブサイトに不正アクセスを試み、うち1州のサイトから10万人以上の有権者情報を入手。この情報に基づき、民主党支持者として有権者登録していた住民に対して、実在の極右団体「プラウドボーイズ」を名乗って「あなたの住所、電話番号などの情報は持っている。トランプ氏に投票しなければ、あなたのところに行く」などと脅迫するメールを送った。

 また、共和党の上下両院議員や米メディア関係者に対して「民主党が郵便投票や在外投票で不正を行っている」との偽情報を流し、入手した情報を織り交ぜながら「不正」を訴える映像をSNS(ネット交流サービス)などで流布したという。



 米ABCニュースによると、有権者の情報が漏えいしたのは接戦州の一つだった南部フロリダ州の可能性がある。司法省幹部は「米国の選挙制度への信頼をむしばみ、米国民の間に不和の種をまこうとする試みだ」と指摘した。

 米国とイランは、1979年のイラン革命や在イラン米大使館占拠事件などを受けて、80年に断交した。トランプ前政権はイラン核合意から離脱するなど、対イラン関係を悪化させた。【ワシントン秋山信一】