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2021年11月22日07時16分

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ロシア製地対空ミサイルシステムS400=2020年9月、ロシア西部アストラハニ州(EPA時事)




 【ニューデリー時事】中国けん制を念頭に置いた連携枠組み「クアッド」で日米、オーストラリアと協調するインドが、ロシア製地対空ミサイルシステムS400の導入に踏み切った。導入中止をインドに働き掛けてきた米国が制裁を科すか、対中共同歩調を重視して制裁実施を見送るかが焦点となりそうだ。


 インド紙ヒンドゥスタン・タイムズは20日、複数の外交筋の話として、S400の一部がインドに到着しており、2022年の早い時期に先行分が北部と東部の対中国境地帯に設置される見通しと報じた。16日にも「納入は予定通り進んでいる」というロシア国営軍需企業幹部の話を伝えている。インドとロシアは18年、プーチン大統領の訪印時にS400の購入契約を結んだ。
 インドは核兵器を保有する中国、パキスタンと領土問題を抱えている。昨年は45年ぶりに中印両軍の衝突で死者を出し、国境地帯で緊張が高まった。400キロ圏内の航空機やミサイルを迎撃できるミサイル防衛システムS400の導入をインドは切望していた。
 インドは冷戦時代、「非同盟」の方針を取ったことから西側諸国に冷遇され、伝統的にロシアから武器を購入してきた経緯がある。また、自国の利益を最大化する多方面外交を続けている。
 米国は昨年、自国のロシア制裁法に基づき、S400を導入した北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコに制裁を発動。インドにも自制を呼び掛けてきた。一方、インド紙タイムズ・オブ・インディアによれば10月下旬、インドとの交流促進を目指す超党派の米議員団代表が「対印制裁回避が国家安全保障上の利益となる」と訴える書簡をバイデン大統領に送った。