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毎日新聞 2021/11/22 19:04(最終更新 11/22 19:54) 779文字




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大阪地検が入る大阪中之島合同庁舎=大西達也撮影

 大阪地検は22日、邸宅侵入罪で在宅起訴した男性(30)について、起訴を取り消したと発表した。事件当日に撮影されたと主張した動画の撮影日が実際は別の日で、公訴時効が成立していた。男性は他に3件の事件で在宅起訴されており、大阪地裁で公判前整理手続きが続いている。

 関係者によると、大阪府警は2020年7月、男性を強制わいせつ容疑で逮捕。17年11月に大阪府内のマンション共用部に正当な理由なく侵入した疑いも強まったとして追送検し、地検は20年10月に在宅起訴した。検察側は、男性の携帯電話に保存された動画を証拠として提出。男性が侵入した際に撮影した動画とされ、撮影日時から事件の発生時刻を特定したと主張していた。



 しかし、男性は一貫して起訴内容を否認。男性の弁護人が携帯電話を確認すると、該当の動画が見当たらなかった。弁護人の指摘で府警が調べた結果、実際の撮影日は2カ月前の17年9月だったことが判明。捜査員が動画ファイルに記載されていた別の日付を「撮影日」と勘違いし、捜査報告書を作成していた。地検も見抜けなかったという。

 刑事訴訟法では邸宅侵入罪の時効は3年と定められている。起訴時に時効が成立していたことが明らかになったため、地検は邸宅侵入罪の起訴を取り消すことを決めた。


地検「分析と精査が不十分だった」
 地検の松居徹郎公判部長は「起訴段階で分析と精査が不十分だった。原因を明らかにして再発防止に努めたい」とコメントした。

 府警の熱田好司・刑事総務課長は「府警として確認が不十分だった。今後このようなことがないよう、指導、教養を徹底していきたい」と話した。弁護人の赤嶺雄大弁護士(大阪弁護士会)は「事実と異なる捜査報告書が作成されたとなると、冤罪(えんざい)を生じさせる危険がある。再発防止策の検討を求める」との談話を公表した。【山本康介、榊原愛実】