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毎日新聞 2021/11/23 17:00(最終更新 11/23 17:32) 有料記事 3301文字




 脱炭素化にかかるお金をどうするか。13日に閉幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、「京」単位の巨額マネーを投じていくことが打ち出された。しかし、そのお金が本当に気候変動対策に資するグリーンマネーと言えるのか、市場ではその選別が始まっている。

金融街を奔走したカーニー氏の「脅し」
 「金融機関の多くが気候変動問題をCSR(企業の社会的責任)上の問題だと思っていた。人ごとのように考える企業があまりにも多かった」。国連の気候変動問題担当特使を務めるマーク・カーニー氏は3日、COP26で行った演説でこう嘆き、パリ協定が採択された2015年以降も金融マンの認識と価値観に大きな変化がなかったとの認識を示した。

 カーニー氏はカナダ銀行(中銀)総裁を経て13年に外国人として初めてイングランド銀(BOE)総裁に就いた金融界の大物。世界の金融当局者でつくる金融安定理事会(FSB)の議長も務め、気候変動に関する情報開示を企業に求める気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の設置も主導した経歴の持ち主だ。国連では気候変動対策に必要な資金の調達も担当し、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、早くからシティグループやモルガン・スタンレーなど世界有数の金融機関を奔走。「時には威嚇して」協力を迫ったという。

 巨額のグリーンマネーは集結しつつある。カーニー氏は4月、ジョン・ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)らとともに、「ネットゼロに向けたグラスゴー金融連合(GFANZ)」を立ち上げた。これまでに銀行や保険、資産運用会社など世界の450機関が参加し、遅くとも50年までに投融資先の温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す。

 COP26では、GFANZの参加機関の資本が、世界の金融資産の約4割に相当する130兆ドル(約1.5京円)に達したことが明らかにされ…

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