https://www.sankei.com/article/20211123-6HNK3DKQHFKQJKVHGH3D4TJIW4/
2021/11/23 18:34



【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の秘密警察に取り込まれ、韓国の脱北者を北朝鮮に連れ戻す工作に加担したとして、国家保安法違反罪に問われた脱北女性、宋(ソン)チュンソン被告(44)に対し、韓国・水原(スウォン)地裁は23日、懲役3年(求刑・同5年)の実刑判決を言い渡した。宋被告側は控訴する方針。

北朝鮮で、海外の脱北者のカネを北朝鮮の家族に渡すブローカーをしていた宋被告は2016年、秘密警察の国家安全保衛部(保衛部、現国家保衛省)に半ば脅される形で、同部所属の海外秘密工作員となり、韓国の知人脱北者の連絡先を保衛部に教えるなどした。

この知人の仲介もあり、別の脱北者が保衛部から「北朝鮮の家族に危険が及ぶ」などと脅迫されて北朝鮮に戻り、韓国非難を行った。宋被告は自分も「保衛部に強要された」と主張したが、地裁は、宋被告が最終的に自ら保衛部に協力を申し出た点を挙げ、「罪は軽くない」と指弾した。

判決は、北朝鮮も本来、韓国領の一部だとの前提の下、国家保安法の適用を認めたが、宋被告を支援する脱北者団体幹部は「韓国の法律が及ばない北朝鮮で行われたことで、無罪が妥当だ」と反論している。