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毎日新聞 2021/11/23 20:13(最終更新 11/23 21:07) 有料記事 1663文字




 23日に90歳で亡くなった韓国の全斗煥(チョンドゥファン)元大統領に対し、同国内では「歴史の断罪を受けた政治軍人」(聯合ニュース)などと厳しい論調が目立つ。1979年の「粛軍クーデター」で実権を掌握した軍人出身の全氏が、民主化を求める学生らを弾圧した80年の「光州事件」への謝罪を拒み続けたためだ。大統領経験者が死去した場合に営む「国家葬」(国葬に相当)に対する世論や政界からの批判は強く、見送る可能性が出ている。

 青瓦台(大統領府)の報道官は23日、「冥福を祈り、遺族にはお悔やみを伝える。歴史の真実を明らかにせず、心からの謝罪がなかったことに遺憾を表する」と述べ、大統領府として弔問しない方針を明らかにした。文在寅(ムンジェイン)政権を支える与党「共に民主党」の宋永吉(ソンヨンギル)代表も同日、「わが党は弔花、弔問、国家葬のすべてを認めない」とフェイスブックに投稿した。

 韓国軍が市民に発砲して、百数十人の犠牲者を出した光州事件を巡り、全氏は自らの責任を最後まで否定し、犠牲者やその家族に謝罪しなかった。2017年に出版した回顧録では、「人々は、事件のすべてを私が実行したと誤解している」と強調。…

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