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2021年11月25日 6時0分スポーツ報知

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3年の男子生徒が同学年の男子生徒に刺され死亡する事件があった愛知県弥富市の市立十四山中学校



 24日午前8時10分ごろ、愛知県弥富市鳥ケ地1丁目の市立十四山(じゅうしやま)中学校(黒川利之校長)から「生徒同士のトラブルがあった」と110番があった。3年の男子生徒(14)が校内で同学年の男子生徒(14)に包丁で腹部を刺され、病院に搬送された。同午前10時35分、死亡が確認された。死因は出血性ショック。県警は殺人未遂容疑で男子生徒を現行犯逮捕した。容疑を認めている。

 生徒の悲鳴、制止する教諭、凶器となった包丁…。規制線が張られた正門の前にパトカーは止められ、報道陣が殺到、上空ではヘリコプターが何度も旋回した。近鉄名古屋線佐古木駅から南に約2キロ、周囲に田畑が広がる中学が騒然となった。

 県警によると、死亡したのは伊藤柚輝さん。事件は、授業前に設けられた「読書時間」が教室で始まる直前に起きた。現場は3年の教室がある校舎2階の廊下。伊藤さんが男子生徒に教室から呼び出された直後、刺されたとみられる。伊藤さんは、出血しながら自力で教室に戻り、床にあおむけで倒れた。

 「救急車を呼んでくれ」。担任から連絡を受けた校長が救急車を要請。伊藤さんは別の教室に移され、心臓マッサージなどを受けたが、病院搬送後の同10時35分、出血性ショックで死亡した。傷は肝臓を貫通していた。

 一方、逮捕された生徒は手に包丁を持ち、立ちつくしていた。生徒の悲鳴を聞いた教員が駆け付け、包丁を下ろすように声を掛けると、応じたという。教師が生徒を別室に移動させ、その後、県警に逮捕された。包丁は外部から持ち込んだとみられ、学校の備品ではないとしている。

 逮捕容疑は24日午前8時ごろ、殺意を持って同学年の生徒の腹付近を包丁(刃渡り約20センチ)で刺した疑い。男子生徒は「私がやったことで間違いない」と容疑を認めている。県警は現場から凶器の包丁を押収。計画的だった可能性もあるとみて、容疑を殺人に切り替え、トラブルの有無などを調べている。

 2人は同じ小学校の出身で、中2の時も同じクラスだった。3年では別のクラスに在籍。部活動も異なるという。会見した黒川利之校長は「(伊藤さんは)体育祭で活躍していた。かけがえのない命が失われた」。逮捕された生徒は「生徒指導で話題に上がることはなかった」といい「2人の間のトラブルも把握していない」と困惑を口にした。

 今月1日時点の同校の生徒数は138人。3年は47人。教職員や他の生徒にけがはなかった。市教委は、原因究明のため第三者委員会の設置を表明。夜には保護者向け説明会を開いた。