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毎日新聞 2021/11/28 09:00(最終更新 11/28 09:00) 743文字




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茨城県庁

 茨城県は、2050年度までに市町村や企業団が運営する県内全ての水道事業を統合、料金を一律化することを目標とする指針「県水道ビジョン」案を策定した。人口減少に伴う収入減を見越し、浄水場の統廃合などでコストダウンを図ることで、利用料金の抑制につなげる計画。事業主体の民間委託は避けるという。

 県水政課によると、01年度策定の従来指針では、人口増を前提に事業を計画。一方、県の試算では、50年度には水道の利用人口が252万人となり、18年度比で20万人減る見込み。これにより、県内の1日平均の給水量は、同6・1%(5・3万トン)減るとみられ、収益は同4・9%減となる。



 加えて、50年度までに施設の老朽化も進行。県内127カ所の浄水場の更新に約3760億円を要する見込みだ。現状通り市町村などが個別に事業運営を続ければ、今後30年間で給水にかかる原価は現在の約1・3倍に上昇、利用料への反映を余儀なくされるとみられる。

 新たな指針案では、県も含め43事業者が運営する水道事業を統合する「1県1水道」が基本方針。30年度までの10年間は、各地で異なる料金体系を残し、浄水場を共同利用するなどして段階的に経営を一体化する計画。最終的には浄水場を約50カ所に統廃合し、施設整備費や人件費を減らすことで、給水にかかる原価の上昇幅を約1・03倍に抑えられるとしている。



 統合後の事業主体は、現時点では県もしくは企業団が担う方針。この他、11年の東日本大震災で県内約78万4000戸が断水した反省から、浄水場や水道管の耐震化の推進も盛り込んだ。

 県は12月23日までパブリックコメントを実施しており、今年度中に指針を正式決定する方針。案は県ホームページの他、県庁や各合同庁舎などで閲覧できる。【宮崎隆】