0001ひよこ ★ [ﾆﾀﾞ]
2021/11/28(日) 12:42:21.11ID:fq6r4eja9毎日新聞 2021/11/28 12:00（最終更新 11/28 12:00） 1346文字
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/11/27/20211127k0000m040190000p/9.jpg
朝来バイオマス発電所＝Kenes提供
山林伐採後に残された木の切れ端などを燃やして電力にする「朝来バイオマス発電所」（兵庫県朝来市）が新型コロナウイルスの影響による燃料不足で発電量が半減している。コロナ禍でアメリカでの住宅建築が急増して輸入木材が減少。国産木材の需要が高まり、発電所の燃料を工面できなくなっているためだ。売電収益を植林に回し、二酸化炭素（CO2）の吸収に役立てる狙いだったが、思わぬ試練に立たされている。
発電所は2016年12月に関電エネルギーソリューション（Kenes）が稼働した。県森林組合連合会（県森連）が供給する木質チップ約6・3万トンを燃やし、一般家庭約1万2000世帯分にあたる年間約3700万キロワット時を発電していた。電力は再生可能エネルギー固定価格買取制度（FIT）で20年間、高値で買い取られている。
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/11/27/20211127k0000m020159000p/9.jpg
朝来バイオマス発電所の仕組み
県森連は、伐採後に山に放置された木や枝が曲がったもの、間引きされた細い木などの林地残材を有効利用。天日で乾燥後に木質チップにして、Kenesに売却し、森林所有者が再植林する費用に充てている。県内の人工林は6割以上が植林から半世紀近くとなり、再植林で鈍化したCO2の吸収力の向上を見込んでいた。
コロナ禍で外国産の輸入滞る
春から国産木材の価格が上昇、秋にはスギの原木で前年比1〜5割値上がりとなり、ウッドショックと呼ばれた。経済産業省によると、アメリカではコロナ禍でリモートワークが普及し、郊外での住宅新築やリフォームが急増した。また、搬送に使われるコンテナも世界的な巣ごもり需要で不足して外国産木材の輸入が滞った。国内の住宅メーカーは国産木材の使用に切り替え、曲がった木や細い木でも合板などの加工用に使われるようになった。
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/11/27/20211127k0000m040191000p/9.jpg
燃料となる林地残材を保管する集積場＝朝来市で2021年11月22日午前9時51分、松田学撮影
県森連は10月、発電所への納入を減らすことを通知した。木質チップを確保するため、林地残材の引き取り価格を引き上げたことで、加工費用も含めると、発電所への売却価格を上回って赤字になるという。県森連は「木材の値上がりは喜ばしいが、国際商品で変動幅が大きい。発電所への木質チップの売却は林業者の下支えとして重要だ」とし、木の根元部分も林地残材として活用するなど工夫しているという。
太陽光発電も含め、FIT制度で認定された発電所は全国で300万施設以上ある中、全ての燃料を間伐材、林地残材で賄う発電所は珍しいという。
ウッドショックを受け、岡山県の真庭バイオマス発電所では、必要となる年間14万8000トンの燃料調達で、同県北部の製材所から出る木の皮の比率を4割から6割に増やした。市内に製材所が約30社あるのが強みで、年間約8500万キロワット時（2万2000世帯分）をほぼ維持している。発電所運営会社の中島浩一郎社長（69）は「発電を成り立たせるには、製材など木材産業の裾野を広げることが必要だ」と話している。
バイオマス発電
動植物などの生物資源（バイオマス）を使った発電。FIT制度では林地残材のほか、製材の端材や輸入したパームヤシの殻、建築廃材も燃料として認められている。森林の再植林や木を間引いて成長を促すことはCO2の吸収源として気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」で認められている。このため、林地残材の発電は特に高値で買い取られている。【井上元宏】
