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2021/11/30 21:10


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立憲民主党の新代表に選出され、あいさつする泉健太氏=30日午後、東京都内のホテル

立憲民主党の新代表が決まったものの、代表選は盛り上がりを欠いた。党の分裂を懸念したのか4候補による討論会は生ぬるく、激しい政策論争を繰り広げた自民党総裁選とは対照的な印象を残した。中国の軍事的脅威が深刻さを増す中、安全保障を積極的に論じ合うこともなく、政権を担う本気度が疑われる12日間だった。

「(他の候補は)敵でも何でもない、本当に仲間だ。楽しく和気藹々(あいあい)と前向きな、しかし、エキサイティングな論戦を戦わせられるよう、微力だが全力を尽くしたい」

告示日の11月19日に開かれた4候補による共同記者会見で、小川淳也元総務政務官はこう代表選への意欲を語った。ただ、世間の耳目を集めるエキサイティングな論戦が交わされることはなかった。

先の衆院選に際し、共産党などとの共通政策とした「安保法制の違憲部分廃止」に関し、逢坂誠二元首相補佐官と西村智奈美元厚生労働副大臣は「見直さない」と表明したが、泉健太新代表と小川氏は明言を避けた。

「同じ党だから違いはそこまでない。論争がないと指摘されるが、何が共通しているのかという視点で見てほしい」。ある立民参院議員はこう語るが、見解の相違から目を背け、論戦を回避したように見えた。

深刻だったのは福岡市で行われた討論会だ。テーマは「税制を含む経済政策、外交・安全保障政策」だったが、90分のうち直接的に外交・安保を論じた時間は10分に満たず、政権を担う覚悟は感じられなかった。

4氏が出馬した9月の自民総裁選では、岸田文雄首相らが河野太郎広報本部長の年金改革などを厳しく追及した。「党員は論戦に耳を傾けて一票を投じる。真剣に議論を尽くした結果だから誰が勝っても納得する。組織はまとまり、国政選挙に勝つ流れができる」。自民幹部が8月に語った通り、同党は10月の衆院選で底力を発揮した。

今回の立民代表選が責任政党としての信頼を高め、真の意味での結束強化につながったとはとても思えない。(内藤慎二)