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毎日新聞 2021/12/1 09:00(最終更新 12/1 09:00) 623文字




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国会議事堂=川田雅浩撮影

 2020年国勢調査の確定値が11月30日公表され、衆院選小選挙区の「1票の格差」是正のため「10増10減」の定数配分見直しが必要となることが確定する中、自民党内で増減規模を「3増3減」に縮小する案が急浮上した。多くの地方で定数が減れば、国政に意見が反映されにくくなると懸念したためとみられる。

 細田博之衆院議長は11月30日、自民党の高木毅国対委員長と国会内で会談し、「3増3減」を軸とする法改正などの検討を要請した。党関係者によると、「3増3減」は細田氏の独自案とされ、東京都2増、神奈川県1増、長崎、愛媛、新潟3県各1減とする内容だ。党の選挙制度責任者を長年務め、選挙制度に造詣が深い細田氏は「10増10減」の影響が広範囲に及ぶことを懸念し、12月6日召集の臨時国会での対応を促したという。



 しかし、衆院選挙制度を巡っては、16年の衆院選挙区画定審議会(区割り審)設置法改正で、議席配分に人口比をより正確に反映する「アダムズ方式」を2020年国勢調査後に導入することが決まっている。「10増10減」はこれに基づく措置で、棚上げするのは容易ではない。臨時国会召集まで1週間を切っており、野党との交渉が円滑に進むかどうかも不透明だ。

 自民内ではアダムズ方式の厳格適用に対し「地方の議員が減り、都市に集中するだけ」との不満は根強い。党幹部は「3増3減でも1票の格差は2倍未満に収まる。増減の規模は現実的な範囲にとどめるべきだ」と話す。【野間口陽】