https://www.sankei.com/article/20211201-4YLWUTJ5AVJBVKJHPZ6AELXGC4/
2021/12/1 22:03


外務省は、人権問題を担当するポストを来年度に新設する方針を固めた。中国による新疆(しんきょう)(しんきょう)ウイグル自治区での少数民族弾圧などを念頭に、人権外交の態勢強化が必要と判断した。企業活動における人権尊重の促進も加速する。複数の関係者が1日、明らかにした。

新たなポストは外務省総合外交政策局の人権人道課に設置する。早ければ来年4月にも課長を補佐する「企画官」を置く方向だ。同課は難民問題をはじめとする人道分野も所管するが、新設の担当官は人権問題に専念する。

岸田文雄首相は11月に国際人権問題担当の首相補佐官を新設し、元防衛相の中谷元氏を起用した。外務省に設置する担当官は中谷氏とも連携し、新疆ウイグルや香港などをはじめ各国で発生する人権問題への対応を検討する。

新たな課題として浮上する「ビジネスと人権」に関する取り組みも推進する。欧米ではサプライチェーン(供給網)上の人権侵害を把握し、予防する「人権デューデリジェンス」の法整備などが進む。日本も昨年10月に外務省や経済産業省などの省庁横断で「行動計画」を策定したが、緒に就いたばかりだ。今年1月には米税関当局が新疆ウイグルの強制労働をめぐる輸入禁止措置に違反したとして「ユニクロ」の製品を差し止める事案も発生した。

外務省幹部は「国際社会の人権問題は複雑かつ広範になっている。人権外交の態勢強化は急務だ」と説明する。