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毎日新聞 2021/12/3 11:00(最終更新 12/3 11:00) 1560文字




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「(発言は)不適切そのもの。撤回し、おわび申し上げる」と改めて謝罪した川勝平太知事=静岡市葵区の県庁で2021年12月2日午後2時21分、金子昇太撮影

 6月に行われた静岡県知事選の期間中に、女性蔑視ともとられかねない発言をしたとの一部報道を受け、川勝平太知事は2日の定例記者会見で改めて謝罪した。一方、「日本語になっていない」などとし、発言の意図は説明しなかった。【金子昇太】

意図説明せず、自民「明確な答えない」
 川勝知事は会見で、「舌足らずで支離滅裂。日本語になっておらず、恥じ入っている。(発言は)一言で言えば不適切そのもの。撤回し、おわび申し上げる」と頭を下げた。



 発言は6月6日、富士市での集会で飛び出した。川勝知事がかつて学長を務めた静岡文化芸術大の学生が工事現場に行ったときのエピソードを紹介した際に「(学生の)8割くらい女の子。11倍の倍率を通ってくるので、みんなきれい。顔のきれいな子はあまり賢いことを言わないと、きれいに見えない。ところが全部、きれいに見える」などと話した。女性の容姿と学力を結びつけたようにとられかねない発言だった。

 川勝知事はこのほか、「工事現場にいるのはおっさんばかりだと思った。ヘルメットを取ったら大学の工学部を出たとか、立派な人ばかり」とも述べていた。



 会見で一連の発言のどこが問題だったかを追及されると、川勝知事は「(発言は)日本語になっていない。正確に意味は取れない」と説明。「差別はしないというのが基本的な私の姿勢。差別につながりかねないこの意味の取れない発言に対して、本当に恥ずかしい内容だった」と振り返った。

 「コシヒカリ」発言を巡って、辞職勧告決議案が11月に可決されたばかりだが、進退については新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の広がりなどを挙げ、「この時期に選挙をするのは公益にもとる」とし、続投の意思を示した。



 会見後、自民党県連の野崎正蔵幹事長は「マスコミの問いかけに明確な答えをしていない。何を会見でしようとしたのか読み取れなかった」と指摘。ふじのくに県民クラブの佐野愛子会長は「知事は謝罪をしていて、恥じ入っているということなので、気持ちは受け止めた」と述べた。

これまでに問題視された川勝知事の発言
▽田辺信宏・静岡市長を「君(キミ)」呼ばわり(2015年7月)

 県都構想について、田辺市長と会談。「君」と呼び掛けられた田辺市長は「『君、君』とおっしゃいますけどもね、静岡市長ですけど。公の席ですのでね」と憤慨した。



▽「投票率が50%未満ならば辞職」発言(17年4月)

 3選を目指していたが、投票率が50%未満ならば、当選しても辞職すると表明。後に「低投票率へ仕向けようとする動きがある。投票率にこだわらない」とし、撤回した。投票率は46.44%だった。

▽県議に「ヤクザ」「ゴロツキ」発言(19年12月)

 県議に対して「ヤクザもいる」「ゴロツキもいる」と発言。定例記者会見で不適切発言を明確に認めなかったが、翌日の臨時記者会見で撤回した。

▽菅義偉前首相に「学問をされた人じゃない」発言(20年10月)

 日本学術会議を巡る任命拒否問題で、菅前首相について「教養レベルが図らずも露見した。学問をされた人じゃない」と言及したが、後に撤回。20年12月に「不適切な発言をしないよう言い聞かせている」と謝罪した。

▽森喜朗氏の辞任表明に「恩義は深い」発言(21年2月)

 女性蔑視発言をした東京オリパラ組織委の森喜朗会長の辞任表明について「(発言は)極めて不適切」とする一方、「恩義は深い。女性を蔑視する人ではない。ちょっとしたユーモアで言葉が過ぎるのが欠点だ」と述べた。

▽御殿場市は「コシヒカリしかない」発言(21年10月)

 参院補選の応援演説で「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない」と発言。当初は「誤解が拡散した」と釈明したが、後に撤回。「来年は生まれ変わると富士山に誓った」と謝罪した。