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2021年12月04日05時56分




 【カイロ時事】サウジアラビアで今月初めて開催される自動車F1レースに合わせたカナダ出身歌手ジャスティン・ビーバーさんらの公演が波紋を呼んでいる。サウジの人権侵害に対する国際的な懸念がくすぶる中、人権団体などは興行やスポーツイベントの開催が「問題を隠し、誤ったイメージを与えかねない」と訴えている。
 F1サウジGPは5日に西部ジッダで決勝が行われる。サウジは昨年、スポーツ担当機関をスポーツ省に格上げ。近年は競馬やサッカー、ゴルフなど大規模な国際イベント誘致に積極的だ。
 一方で、2018年にはトルコにあるサウジ総領事館で、政権に批判的だったサウジ人記者ジャマル・カショギ氏が殺害された。事実上の最高権力者ムハンマド皇太子の関与が疑われている。人権を重視し、サウジが軍事介入するイエメン内戦などでも厳しい姿勢を取るバイデン米大統領が皇太子との接触を拒むなど、国際社会にはサウジに対する忌避感も根強い。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは「サウジは人権問題をごまかすために有名人や国際イベントを利用している」と非難。カショギ氏の婚約者ハティジェ・ジェンギズさんも、米紙への寄稿で「殺人者のために歌うのではなく、声を上げて批判してほしい」とビーバーさんらに公演中止を促した。