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2021年12月11日07時28分




 【北京時事】中国は世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制の維持を掲げつつ、地域間の枠組みへの参画も重視している。今年9月には日本が主導する環太平洋連携協定(TPP)への加入を申請。来年1月に発効するアジア太平洋15カ国の地域的な包括的経済連携(RCEP)でも、圧倒的な存在感を背景に主導権の確保を狙っているとみられ、日米欧などが警戒感を強めている。


 中国は昨年、難航していたRCEPの交渉をまとめ上げたほか、欧州連合(EU)との投資協定も合意にこぎ着けるなど、通商協議での成功に自信を深めている。貿易黒字や直接投資で膨らんだ巨額の外貨準備を後ろ盾に、独自の巨大経済圏構想「一帯一路」も推進、影響力の拡大を図っている。
 中国の切り札は巨大な国内市場だ。習近平国家主席は「世界で最も潜在力のある大市場」と自画自賛。昨年のモノの輸入額は2兆570億ドル(約230兆円)と日本の3倍以上に達する。また、世界の対中直接投資も拡大が続いており、今年1〜10月の投資額は前年同期比18%増加。米中のデカップリング(分断)が取り沙汰される中、外国企業の中国進出や事業拡大の動きはむしろ加速している。
 ただ、中国の台頭に逆風も強まっている。米国は同盟国とともに「中国包囲網」の構築を急いでおり、半導体のサプライチェーン(供給網)再編などが候補に挙がる。EUとの投資協定は、新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐってEUが承認手続きを凍結、棚上げ状態となった。米国が離脱したTPPも中国加入のハードルは高く、国有企業改革に加え、環境や労働などの問題でも大幅な譲歩を求められるのは確実。早期の交渉入りは困難とみられている。