https://www.sankei.com/article/20211217-MHO6XFTOP5KEFMGUOL3MKBXB3M/
2021/12/17 09:30


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米国務省=ワシントン(AP=共同)

米国務省は16日、中国がウイグル族などイスラム教少数民族への人権侵害を正当化する根拠として、新疆ウイグル自治区の独立派組織とされる「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」によるテロの脅威を挙げていることについて、「ETIMがまだ存在しているとの十分な証拠は10年以上ない」と指摘した。同日発表したテロ活動に関する2020年版国別報告書に明記した。

「テロ対策」の名を借りた人権弾圧を容認しない姿勢を示す意味合いがある。バイデン政権は、中国によるウイグル族などへの弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だとしたトランプ前政権の認識を引き継いでおり、今月上旬にはウイグル問題などを理由に来年2月の北京冬季五輪への「外交的ボイコット」を発表。今後も中国への追及を強める構えだ。

報告書によると中国政府は、シリアやアフガニスタンで活動するイスラム過激派組織「トルキスタン・イスラム党(TIP)」をETIMと呼んで同一視しているが、報告書はこれを「不正確なレッテル張り」だとも述べた。国務省は昨年11月、ETIMを同省のテロ組織リストから除外している。

また報告書は、中国政府が2017年以降、ウイグル族など100万人以上を拘束し、収容所で強制労働を科したり、不妊手術を強制したりしていると改めて強調、こうした弾圧を正当化するために「法執行機関の権限拡大や軍事・対テロ能力の強化を進めている」と批判した。(ワシントン 大内清)