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2021年12月17日12時15分

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猟銃の所持許可取り消しをめぐる判決後、記者会見する北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん=17日午前、札幌市




 自治体から要請を受けてヒグマを駆除した際、建物に銃弾が当たる恐れがあったとして、猟銃の所持許可を取り消された北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(72)が道を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟の判決が17日、札幌地裁であった。広瀬孝裁判長は「社会通念に照らして著しく妥当性を欠く」として処分を取り消した。


 判決によると、池上さんは2018年8月、砂川市の依頼を受けて出動。市職員と警察官の立ち会いの下、ライフルでヒグマを駆除したが、道公安委員会は周囲の建物に着弾する恐れがあったと判断し、19年4月に猟銃の所持許可を取り消した。
 広瀬裁判長は「出動は市の要請で地域住民の不安に応じたもので、公共の利益に沿ったものだった」と指摘。弾丸が付近の建物に当たったり、損壊させたりした事実も認められないとした。
 その上で「取り消し処分は、発射行為の危険の有無だけではなく、経緯や状況などを総合的に考慮して判断すべきだ」と言及。所持許可取り消しは裁量権の範囲を逸脱し、違法だと結論付けた。
 訴訟で原告側は、ヒグマの後方には高さ8メートルの斜面があり、弾丸を遮る「バックストップ」の役割を果たしており、周囲の建物に到達する恐れはなかったと主張。道側は「弾が樹木などに当たって予測できない方向に跳ね返り、建物に当たる可能性があった」などと反論していた。
 判決後に記者会見した池上さんは「自分の銃だけの問題ではない。警察、自治体、ハンターで協議して解決しなければいけない」と話した。
 道警監察官室の話 判決内容を精査し、今後の対応を検討したい。