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毎日新聞 2021/12/18 06:00(最終更新 12/18 06:00) 有料記事 2945文字




 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の日本国内への流入を受け、外国人の新規入国が原則禁止されている。家族との別離を強いられた人たちは「感染予防の安全対策を徹底しながらも、人道的に配慮してほしい」と訴える。国籍の違いを問わずに感染するウイルスの脅威に対し、現在取られている措置は妥当なのだろうか。

 「30年以上、日本語の勉強や日本文学の研究を続けてきました。これだけ日本を愛しているのに、このような扱いを受けています。早く子供たちに会えるようにしてほしい」

 神奈川大で日本の近代児童文学を研究するメレク・オータバシさん(51)=カナダのサイモンフレーザー大准教授=は、カナダに残してきた子供といつ会えるかわからない状態が続いている。7月に3人の息子と共に在留資格を得たが、子供たちのビザ(査証)が下りず、悩んだ末に10月下旬に自分一人で訪日した。息子たちは前夫に預け、ビザが取れ次第、日本に呼び寄せるつもりだった。

 しかし11月末に日本国内でオミクロン株の感染者が見つかり、政府は外国人の新規入国を原則禁じたため、計画は暗礁に乗り上げた。窓口となる「国際交流基金」からは、息子たちの訪日は「可能性があるとすれば来年2月」と知らされている。だが確実に再会できる保証はなく、先延ばしになる恐れもある。「打ちのめされています。特に一番下の息子はまだ8歳です」とオータバシさんはため息をつく。

 現在は客員研究員のオータバシさんは、来年度から日本国内の別の大学で客員教授として働く予定だが、子供たちとの別離が続く場合は帰国することも考え始めた。「これは人権の問題です。キャリアにも傷がつきますが、帰る以外にどうすればいいかわかりません」

野球選手の家族も来日認められず
 コロナの感染が本格的に拡大して以降、政府が入国を認めている外国人は▽日本人・永住者の配偶者や子供▽在留資格を持つ人▽人道上配慮すべき事情がある人――などに限られている。永住者や定住者の在留資格を持つ人を除けば、…

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