https://mainichi.jp/articles/20211217/k00/00m/050/137000c

毎日新聞 2021/12/19 12:30(最終更新 12/19 12:30) 1328文字




 TBSでアナウンサーとして活躍している宇内梨沙さん(30)は「ゲーマー」としての顔も併せ持つ。そんな宇内さんの連載コラム「人生いつも、アプデ中。」では、ゲームの楽しさや自らの面白エピソードをつづる。

 2021年も終わりが近づいていますので、今回は私にとって「今年の一本」となったゲームを紹介したいと思います。ひょっとしたら「人生の一本」と言えるかもしれない、素晴らしいゲームに出会えました。それは15年に発売されたアクションRPG「Bloodborne(ブラッドボーン)」です。



 今でもオンラインで遊ぶプレーヤーが多く、事あるごとにツイッターでトレンド入りするなど熱狂的ファンが数多くいます。進化が著しいゲーム業界ですが、発売から6年経(た)った今でも古さを全く感じず、ゲーム性はもちろん、デザインや音楽も最高のゲームです。

 動画配信で、リメイク版の「Demon’s Souls(デモンズソウル)」をプレーしたことをきっかけに、高難度のアクションRPGの魅力に取り憑(つ)かれ、次の生配信コンテンツに選んだのがブラボでした。ゴシックホラー調の雰囲気も魅力的ですね。どちらも難易度が高いことで知られるフロム・ソフトウェア社のゲーム。デモンズで鍛え、自信をひっさげてブラボに挑んだ私に更なる難易度が襲いかかりました。



 最初のボスキャラクターは基本操作を学べるように難易度が低く設定されていることが多いのですが、ブラボはプレーヤーを絶望させるためなのか、最初からかなり手強(ごわ)いボスが設置されています。そのため、ここで半分のプレーヤーが離脱することでも有名です。

 何度、心が折れそうになったか。何度、生配信を始めたことを後悔したか。あまりに辛(つら)く、途中1か月ほど生配信が滞るほどでした。しかし、他のゲームでは得られない達成感にモチベーションを感じていましたし、見てくれる人の期待に応えたいという思いもあったので、最終的に半年もかかりましたがクリアまで到達することができました。



 ブラボ上で最強といわれるボスの1人「ゴースの遺子」との対戦は最も苦労しました。「一手でも間違えれば全てが白紙」という緊張感の中、トライ&エラーを繰り返し続けること5時間……、ついに倒すことができました。自然と溢(あふ)れる涙……。あの時のカタルシスは、実社会では中々味わえるものではなく、これこそゲームならではの体験だと思いました。

 これまで物語に感動するゲームは沢山(たくさん)プレーしてきましたが、自分の成長に感動するゲームはデモンズとブラボが初めてでした。フロム社のゲームに出会えたのは、ゲーマー人生を変える一つの出来事でもあります。ぜひ苦しみの先に見える景色を味わいたい方は触れてみてください。来年には最新作「ELDEN RING(エルデンリング)」も発売されるので楽しみです!


宇内梨沙(うない・りさ)
 1991年9月21日生まれ。神奈川県横須賀市出身。2015年4月、TBSテレビにアナウンサーとして入社。TBSのeスポーツ研究所に所属し、YouTubeチャンネル「ゲーム実況はじめました。〜女子アナゲーマー宇内e〜」を開設。ゲーム関連の動画を配信している。