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毎日新聞 2021/12/19 16:00(最終更新 12/19 16:00) 有料記事 1486文字




 「1人足りない」。福岡県久留米市の保育園で、送迎バスに乗っていたはずの2歳男児が見当たらない。運転手が急いで施錠したバスに戻ると、車内に男児がいた。取り残された時間は約8分間で、男児は無事だった。同県中間市の双葉保育園で倉掛冬生ちゃん(当時5歳)が熱中症で死亡した事件の約1年前。2020年夏のことだ。

 久留米市は19年4月から「送迎保育ステーション事業」を実施している。園児は市中心部の保育園に集まり、それぞれが保育を受ける郊外の園へバスで出発。夕方、再びバスがそれぞれの園に迎えに行って拠点の保育園に戻り、保護者が引き取るという流れだ。バスには運転手と保育士2人の計3人が同乗している。

 その日は、複数の園を経由して拠点保育園に着いた帰りのバスから園児を降ろした時、2歳男児が車内に取り残されていた。降車した園児を集めて数を確認した際に1人足りないことに気付いたという。園児の不在にすぐ気付いたため事なきを得たが、降車時の人数確認と施錠時の車内確認をするとしたマニュアルが守られていなかった。事業を委託する社会福祉法人はバスの降車確認を4人体制に増やし、チェックリストにチェック欄を設けて再発防止に取り組んでいる。

 久留米市と同様の送迎事業は、東京都町田市や大阪市など都市部の自治体を中心に広がっている。…

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