https://www.sankei.com/article/20211220-YEPH5BEI5NJEZHPF2GFFNWF7KI/
2021/12/20 05:00



党首が交代し、政策立案型政党という看板を掲げても、憲法改正論議に後ろ向きな姿勢を改めるつもりはないらしい。

新代表に泉健太氏が就いた立憲民主党のことである。

岸田文雄政権下で初めて、衆院憲法審査会の自由討議が行われた。

自民党と公明党、日本維新の会、国民民主党は改正論議を具体化させるため、個別のテーマごとに分科会を設置するよう求めた。

国民の玉木雄一郎代表は「議員の意見発表会に終わらせないためにも、分科会方式などを検討すべきだ」と述べた。

立民の奥野総一郎野党筆頭幹事は「分科会をやる段階で一定の価値観が入る。自由討議を中心にしていくべきだ」と述べ、抵抗する構えを崩さなかった。共産党は憲法審自体を動かすべきではないと主張した。

衆院憲法審は何度も自由討議をしてきた。それだけでは改正項目の具体化に進めない。

令和3年度補正予算案が参院で審議されている中で、立民が衆院憲法審開催に応じたのは妥当だ。だが、分科会設置を拒むようでは、臨時国会での憲法審開催に否定的だと批判されるのを避けようとしただけだとみなされても仕方がない。

立民はいつまで憲法改正論議の前進を妨げるつもりか。分科会の設置に応じ、党独自の改正項目を提案してもらいたい。

10月の衆院選では、改正論議に後ろ向きな立民、共産などの左派政党が議席を減らした。

憲法改正問題には与党も野党もないはずだ。衆院憲法審の与党幹事会には維新と国民も加わっている。改正に前向きな政党が集うのは当然である。

国会に衆院憲法審が設置されてから14年、委員が選任されて始動してから10年経(た)つ。多数決で分科会の設置に踏み切り、改正項目の絞り込みに向けて論議を始めるときだ。立民や共産には出席を呼びかけ、翻意すれば直ちに討議に加わってもらえばよい。

改正論議に前向きな4党の目指す改正内容は異なっている。だからこそ、分科会で闊達(かったつ)な議論をすればよい。新型コロナウイルス禍や南海トラフの巨大地震、有事などに備え、緊急事態条項の創設や憲法9条の改正を見据えた論議が急務となっている。