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2021年12月20日07時09分




 大やけどを負った女性(23)はすき家の店舗で働く前の研修で、配膳などのスピードを重視するよう指導されていた。配布された研修ノートには「スピード命!!」「小走りで提供」などの言葉が並んでいたという。
 訴状などによると、研修では盆に皿を乗せて走る練習を実施。指導員から「小走りで」と言われるなど、客への料理提供までの時間を早めることが要求された。
 事故当時は忙しい昼食時で、店内にある約30席がほぼ満席状態だった。みそ汁が掛かった際は「燃えるような痛みが走った」と女性は振り返る。
 調理業務を担当していた社員がやけどを本部に連絡したものの、営業は続けられた。女性の代理人の山下高生弁護士は「営業を休止して救護に当たることも必要だったのではないか」と指摘。すき家が従業員にスピードを求める一方、店内で負傷者が出た際の体制は整備されていないと批判する。
 女性が転倒した時も研修での指導に従い、小走りで配膳する最中だったと強調。ライバル社は注文分だけ注ぐことができるみそ汁サーバーを設置しており、今回のような大やけどが起きにくいとの見方を示した。
 一方、すき家側は答弁書で「女性は小走りではなかった」と反論。研修での指導は「迅速な対応を意識付ける観点から行った」と説明し、みそ汁サーバーを使用する義務はないとした。
 また、本部に連絡した際、上司が不在だったため、従業員は女性の患部を冷やすなどして折り返しの連絡を待っていたと主張している。