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毎日新聞 2021/12/20 11:51(最終更新 12/20 12:21) 607文字




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コロナ前(右・2018年6月)とコロナ後(左・2021年6月)。休業要請でゴミの量が減ったことでカラスも減ったように見えるが……=札幌市中央区で、いずれも貝塚太一撮影

 新型コロナウイルスの影響で飲食店の休業や酒類提供禁止が続いた6月、明け方の歓楽街ススキノでシャッターを切った。

 3年前の6月にも同じ場所で、しかも同じ曜日、同じ時間帯に撮影したが、その時に比べ、カラスの数が激減したように見えた。当時はゴミ出しのネットを張るわずかな時間に、カラスがあっという間に群がっていたが、まばらだった。



 札幌市を中心にカラスの生態を調査しているNPO法人「札幌カラス研究会」の中村眞樹子代表(56)は「数は減っていない」と言う。「ゴミはカラスにとってはおやつ程度。主食のエサは自然界にありますから」と話した。

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コロナ前(上・2018年6月)とコロナ後(下・2021年6月)。休業要請でゴミの量が減ったことでカラスも減ったように見えるが……=札幌市中央区で、いずれも貝塚太一撮影

 では、新型コロナの余波による変化は全くなかったのか。改めて聞くと、中村さんは「一つある」と話した。それは、カラスの繁殖期(4〜7月ごろ)における相談件数という。この時期、カラスは警戒心が強く、威嚇行為に対する対策や巣から落ちたひなの相談などが例年増えるが、今年は劇的に減ったらしい。



 だが、例年問題になる場所などを調べても、カラスの繁殖数が減るといった変化はないようだ。「人間の方がコロナへの意識が強くなり、カラスへの意識が弱くなったのでは」と中村さん。「繁殖期のカラスへの一番の対策は無視。カラスを見ないという行動が自然とできたことで、人とカラスのあつれきが減ったのではないか」と話した。

 感染状況が落ち着けば、再びあつれきが増えるのだろうか。来年の変化が気になる。【貝塚太一】