https://www.sankei.com/article/20211220-CFVZL2QXUBIP3NLP4E2FRAWGVE/
2021/12/20 19:58


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20日未明、香港立法会選挙の開票作業で、投票箱を開ける職員=香港(共同)

【台北=矢板明夫】19日に行われた香港の立法会選で、民主派候補がほぼ全滅した結果を受け、台湾の与党、民主進歩党の幹部は「一国二制度の実態を見せつけられた。独裁国家に期待も幻想も抱いてはいけないことを改めて実感した」と話した。

台湾でその前日の18日に、成長促進剤のラクトパミンを飼料に使った米国産豚肉輸入の是非を問う住民投票が行われた。事前の世論調査では「禁止」を主張する意見が多かったが、与党が「台米関係に重大な影響を及ぼす」と必死に訴え続けた結果、輸入継続を容認する票が上回った。中国と対抗するのに米国との協力関係が必要不可欠と多くの有権者が危機感を抱いたことが逆転の原因と分析する意見が多かった。

台湾との統一を主張する中国は、香港と同じくまず「一国二制度」を台湾でも適用する意向でおり、習近平国家主席はこれまで何度も蔡英文政権に対し交渉に応じるように呼び掛けた。これに対し、蔡氏は「断固として国家主権を守る」と強調し「台湾は中国の一部」を前提条件とした交渉を拒否し続けている。台湾の住民も「台湾を香港にしてはいけない」との思いが強い。昨年以降、蔡政権はほぼ5割の高い支持率を維持しているが、その原因の一つは「対中強硬姿勢」である。

香港の民主化を支持する団体、台湾香港協会の理事長で、香港出身の弁護士、桑普氏は「国家安全維持法が施行される中、香港に残って独裁政権と対抗することは不可能となった。私たちは台湾や欧米などで香港の民主化のために戦い続ける」と話している。