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毎日新聞 2021/12/20 21:40(最終更新 12/20 21:40) 480文字




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選挙集会で支持者に手を振るガブリエル・ボリッチ氏=チリの首都サンティアゴで2021年12月16日、AP

 チリ大統領選で勝利した左派のボリッチ氏は、選挙を通じて自由貿易協定(FTA)に慎重な姿勢を訴えてきた。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を含む日本との通商関係を見直してくる可能性も捨てきれず、日本政府は状況を注視している。

 「ボリッチ氏は自由貿易に慎重だが、『TPPは駄目』という雰囲気でもない。今後の発言、対応を見極める必要がある」。外務省幹部は20日、取材に対しそう述べた。



 「FTA先進国」と呼ばれるチリは日本とも2007年に経済連携協定(EPA)を締結。TPP交渉でも主体的役割を担い、18年には米国が離脱した後のTPP署名式を自国で開催した。しかしその後の国内手続きは滞ったまま、ボリッチ氏が大統領選で勝利。ボリッチ氏の判断次第では、議会でのTPP批准手続きに進まない事態も想定される。

 中国と台湾のTPP加入申請でTPP参加国に動揺が広がる中、チリまで離脱すれば混乱に拍車がかかる。TPP参加11カ国の中で最大の経済規模で、リード役の日本にとっては避けたい事態だ。このため日本はチリの早期批准に期待をつなぎ、情報収集に努める構えだ。【宮島寛】