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毎日新聞 2021/12/22 10:53(最終更新 12/22 10:53) 845文字




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岡山県美作市

 岡山県美作市議会は21日、太陽光発電パネルの設置面積に応じて発電事業者に課税する「事業用発電パネル税」条例案を可決した。地方税法に基づく法定外目的税で、発電パネルの課税条例化は全国初。発電施設周辺の環境保全や防災費用に充てるため、総務相の同意を得て2023年度の施行を目指す。【石川勝己】

 条例は発電パネル1平方メートルあたり50円を課税。出力10キロワット以上の野立て型発電施設を対象とし、住宅などの屋根に設置するタイプには課税しない。野立て型でも50キロワット未満で、土砂災害などの危険区域外なら免除される。同市内には国内最大規模のメガソーラーもあり太陽光発電パネルの総面積は2021年1月現在、約238万平方メートルと県内最大。このうち課税対象施設から年間約1億1000万円の税収を見込んでいる。発電施設は山の斜面などに設置されており、税収は環境保全や災害対策などに充てる。



 条例案は19年6月市議会に提案されたが、納税業者側からの意見聴取に手間取ったり、議会審議が不十分だったりしたため廃案、否決を経て21年9月に3度目の提案、継続審議となっていた。萩原誠司市長は「十分な審議を経て可決された。市民の安全を確保し、太陽光発電と共存していくための財源としたい」と述べた。

 一方、全国の事業者などでつくる一般社団法人・太陽光発電事業者連盟(東京)はこれまでに、「パネル税は固定資産税との二重課税」などと反対の意見書を提出してきた。谷口洋和・同連盟代表理事は「再生可能エネルギーを増やさなければいけない時代の潮流に逆らったパネル税の導入は理解に苦しむ。連盟としては個別事業者が何らかの対抗措置をすれば支援していく」と批判した。



 同市内で最大の出力約25万8000キロワットのメガソーラーを運営するパシフィコ・エナジー(東京)は条例案の可決を受けて、「県の基準を超えるレベルの防災措置をしているのに、一方的に悪者にされており遺憾だ。法に基づき適切な方法で対応していく」とコメントしている。