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2021年12月22日13時31分

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グリフィス(中央)と藩校の生徒ら(福井市立郷土歴史博物館提供)

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ライトアップされたグリフィス記念館=8日午後、福井市

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暖炉の前に足袋などが飾られたグリフィス記念館内=15日午後、福井市




 もうすぐクリスマス。日本で初めて公に開かれたクリスマスパーティーは、150年前の明治初期、福井で藩校教師を務めた米国人ウィリアム・グリフィスによってだとされる。居宅を復元した福井市の「グリフィス記念館」は、パーティーの様子を再現した装飾で彩られ、25日はグリフィスが書いた童話の朗読や合唱などが予定されている。


 グリフィスは1870(明治3)年に来日。71年3月から、当時の福井藩の洋館で日本人生徒ら数人と暮らしながら、藩校で理化学や英語などを教えた。約11カ月間滞在した後、東京に移った。
 同年12月24日、生徒らはグリフィスの指示で靴下代わりの足袋をつるしたほか、食堂の壁や暖炉に松や食べ物などを飾り付けた。彼らが眠った後、グリフィスは足袋に角砂糖や干しぶどう、鉛筆などを詰めた。翌朝、生徒らは大喜び。25日のパーティーには、生徒や同僚教師ら約60〜70人が集まり、初めて味わうココアやコーヒーなどを楽しんだという。
 米国の家族に宛てた手紙には「少年たちはゲームなどを楽しみ、年長者は談笑したり、飾り物を楽しんだりし、誰もが幸せそうだった」と記されている。
 福井大国際地域学部の細谷龍平特任教授(68)は、キリシタン禁制の高礼が全国に掲げられていた中で開かれたパーティーについて「歴史的にも意義がある。クリスマスを楽しむことは、文化や歴史が異なっても同じとのグリフィスの考えがあったからだ」と話す。
 150周年に合わせ、福井大の学生らはグリフィスゆかりの地を巡るスタンプラリーなどを企画した。2年の田中美桜理さん(21)は「多くの人にグリフィスの功績を知ってもらい、認知度アップにつながってほしい」と話している。