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2021/12/22 19:09
産経WEST


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京都市内で京阪バスが運行を始めた中国BYDの電気バス=22日、京都市伏見区(渡辺恭晃撮影)

京阪バスは22日、京都市内を走る路線で電気バス4台の運行を始めた。採用したのは、中国の電気自動車(EV)大手「比亜迪(BYD)」の日本法人ビーワイディージャパンの小型バス。BYDは国内で50台以上の電気バスを販売済みで、価格面での圧倒的な強みを武器に攻勢をかける。大阪市では中国の高級自動車ブランドが出店し、EVの発売を来年開始。EV分野での中国企業の存在感の高まりに、専門家は警戒を強めている。

京阪バスは、JR京都駅と京阪七条駅などを結ぶ路線「ステーションループバス」で、運行する4台すべてを電気バスに置き換える。同社によると、複数台で運行する一路線の全車両を電動化するのは国内で初めてという。

充放電システムは関西電力が担い、効率的なエネルギーコストの管理を進めることで、さらに電気バスの導入を検討。現在、約600台のバスを保有しており、鈴木一也社長は「将来的にはすべて電気バスに置き換えることを目指したい」と話している。

電気バスは日野自動車など国内メーカーも手がけているが、BYDを採用した理由について、京阪バスは世界ブランドの信用力と、コストを挙げる。

ビーワイディージャパンの劉学亮社長が「BYDのバスは50以上の国と地域、300以上の都市で7万台が走っている」と強調するように、世界的な実績がある。

また、導入したのは日本市場向けに開発された「J6」という車両で約1950万円。国内メーカー製は7千万円程度とされており、大きな開きがある。京阪バス幹部は「選択肢はBYDしかない」と言い切るほど、条件の差がある。

BYDは令和12年までに国内で4千台販売する目標で、劉社長は「東京や大阪の都市部のみならず、各地で電気バスを提供したい」と意気込む。

また、BYDは中国や欧州では乗用車のEVを展開しており、ビーワイディージャパンは「国内での計画は未定」とするが、日本市場でも一般販売を検討する可能性はある。中国第一汽車集団も高級ブランド「紅旗」の販売店を大阪市内に出店。EV分野で中国企業の存在感が高まっている。

補助金の仕組み、開示求めよ 江崎道朗氏
評論家の江崎道朗氏は「EV分野における中国の攻勢は非常に厄介な問題だ。日本の民間企業は、製品の導入はコストで判断せざるを得ない」とした上で、中国企業が非常に安い価格で製品を供給できる背景について、「中国政府からの多額の補助金を受けたうえでダンピング輸出≠している実態があるとも指摘される」と話す。

さらに、「米国は中国の極端に安い製品輸出について、補助金拠出の仕組みを開示するよう中国政府に求めている」と指摘。「日本政府も同様の情報開示を中国に求めるなどし、自国のメーカーを守るべきではないか」と語った。