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毎日新聞 2021/12/24 05:30(最終更新 12/24 05:30) 774文字




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記者会見をするロシアのプーチン大統領=モスクワで2021年12月23日、AP

 ロシアのプーチン大統領は23日、年末恒例の記者会見を開いた。ウクライナ情勢を巡って米欧との軍事的緊張が高まる状況について「紛争を望んでいない」と語る一方、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を「受け入れられない」と改めて主張。米欧に対し「我々に(安全の)保障を与えなければならない。今、すぐにだ」と迫った。

 ロシアは米国とNATOに対し、ウクライナを含む旧ソ連圏へのNATO不拡大などを盛り込んだ条約案と協定案を送り、対応を求めている。プーチン氏は会見で、冷戦終結後にNATOが東欧諸国に拡大してきたことについて「だまされた」と述べ、米欧を改めて批判。「我々は米国の国境にミサイルを配備したか。違う。米国が自分のミサイルを持って我々の家の近くまで来た」と訴えた。



 一方でプーチン氏は、米国との安保問題に関する実務者協議が2022年1月初めに開催されることへの期待を表明。「今のところは(米国が)前向きな反応を示している」と語り、「ボールは彼ら(米欧)の側にある」としてロシアの提案への早期回答を求めた。

 ロシアが支援する親露派武装勢力との紛争が続くウクライナのゼレンスキー政権については「極右勢力の影響下に陥った」と述べた。ロシアはウクライナ国境周辺に部隊を集結させているが、プーチン氏はウクライナが「軍事作戦の準備をしている」と主張。ゼレンスキー政権と友好関係を築くのは「不可能だ」とし、直接の和平協議には否定的な考えを示した。



 プーチン氏は友好関係を深める中国に対しては「議論の余地がない世界経済のリーダー」と持ち上げ、中国と「ハイテク兵器の共同開発もしている」と明かした。米国などが22年2月の北京冬季五輪で外交的ボイコットをすると表明したことは「間違いだ」と強調。「中国の発展を封じ込めようとする試みだ」と米国などを非難した。【前谷宏】