https://mainichi.jp/articles/20211224/k00/00m/040/228000c

毎日新聞 2021/12/24 17:54(最終更新 12/24 17:54) 1059文字




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/12/24/20211224k0000m040231000p/9.jpg
多くの児童がマスクを着用し行われた体育の授業=さいたま市南区の市立沼影小学校で2021年12月22日午前9時16分、宮間俊樹撮影

 スポーツ庁は24日、小中学生を対象とする2021年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)の結果を公表した。男子は小中学生とも50メートル走や立ち幅跳びなどの8種目を点数化した体力合計点が08年度の調査開始以来最低を更新。小学校の男女と中学校の男子は肥満の割合が過去最高となった。新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校や活動制限の影響とみられる。

 スポーツ庁は「デジタル化による生活環境の変化にコロナ禍で拍車がかかった。スマホやゲームの時間を少しでも運動に振り向けてもらえるよう、スポーツの魅力を子どもに伝えていきたい」としている。



 20年度はコロナ禍で中止となったため、2年ぶりの調査となる。今年4〜7月、全国にある国公私立の全ての小学5年(約103万人)と中学2年(約98万人)を対象に実施した。

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/12/24/20211224k0000m040201000p/9.jpg
体力合計点の都道府県別平均値

 体力合計点(80点満点)の平均値は、小5男子52・5点(19年度比1・1ポイント減)▽小5女子54・7点(同0・9ポイント減)▽中2男子41・1点(同0・5ポイント減)▽中2女子48・4点(同1・6ポイント減)。小5男子は19年度に続いて過去最低を更新した。中2男子もこれまで最も低かった09年度(41・3点)を下回った。



 種目別では、上体起こしや反復横跳び、20メートルシャトルラン、持久走がいずれも大幅に下落した一方、長座体前屈はおおむね向上した。柔軟性を重視する運動は自粛生活の中でも、部屋でのストレッチなどで比較的取り組みやすいとされる。

 肥満の割合は小5男子13・1%(同2・0ポイント増)▽小5女子8・8%(同0・7ポイント増)▽中2男子10・0%(同1・4ポイント増)▽中2女子7・1%(同0・5ポイント増)――と増え、小5男女と中2男子は過去最高だ。




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/12/24/20211224k0000m040160000p/9.jpg
体力合計点の平均値の推移(国公私立)

 体力の低下や肥満の増加の一因はコロナ禍による生活習慣の変化にもあるようだ。体育の授業を除いて1週間に7時間以上運動をする割合は19年度比で中2と小5の男女とも減り、4・5〜2・4ポイントのマイナス。逆に平日にテレビやスマホ、ゲーム機などの映像を2時間以上視聴する割合はいずれも増え、7・0〜3・3ポイントのプラスだった。

 調査結果を分析した中京大の中野貴博教授(発育発達学)は「スマホやゲームの浸透により、子どもに対して積極的に働きかけなければ、体力低下に歯止めをかけるのは難しい。子どもに影響力を持つ親世代も外で運動する習慣のない人が増えており、大人にも運動の魅力を伝えていくことが大切ではないか」と話した。【大久保昂】