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毎日新聞 2021/12/24 20:54(最終更新 12/24 20:54) 916文字




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山口県の小松一彦副知事=山口県のホームページから

 10月の衆院選山口3区で当選した自民党の林芳正外相の後援会に入るよう幹部職員に勧誘させたとして、山口区検は24日、山口県の小松一彦副知事(65)と山口市の幹部職員2人を、公職選挙法違反(公務員の地位利用)の罪で略式起訴した。略式起訴を受け、小松氏は副知事を辞職。記者会見では、自民党関係者から勧誘の依頼があったとし「依頼を受けた方が行政運営がスムーズにいくと判断した」と語った。

 山口地検によると、小松氏は林氏を支援するため、職務上の地位を利用して後援会員を募ろうと考え、4月下旬ごろ、副知事室で県の幹部職員5人に後援会入会申込書などを渡し、県職員78人に会員になるよう勧誘させた。



 県庁で会見した小松氏は、山口簡裁から罰金30万円の略式命令を受け、即日納付したことを明らかにした。勧誘については、自民党関係者から後援会のパンフレットと入会申込書を渡され「『これを頼む』と依頼された」と説明した。4月に約3000枚を配り、翌月に約半数を回収したという。

 小松氏は「過去からあったことで、強制でなければ勧誘に当たらないという甘い認識だった」と謝罪した。依頼を受けた理由は「依頼を受けた方が行政運営がスムーズにいくと判断した。断ろうと思えば断れた」と述べた。誰に依頼されたかは「県政への信頼を損ねたのは、地位を利用して勧誘した私。個人の特定をするようなことは申し上げられない」などと明言を避けた。



 村岡嗣政(つぐまさ)知事も会見を開き「組織的な勧誘を今後一切なくし、外部から求められても全て断る」と述べた。弁護士を含む調査チームを発足させ、これまでの勧誘について職員に聞き取り調査をするとした。

 小松氏の他に略式起訴されたのは、山口市阿東総合支所の福永卓総合支所長(60)と鶴岡泰広副総合支所長(58)。地検によると2人は共謀し、衆院選公示前の10月4日ごろ、支所の職員4人に申込書などを渡し、支所職員23人に対し入会するよう勧誘させた。



 3人について県警は今月23日に公選法違反容疑で書類送検していた。林芳正外相は同日の記者団の取材に「私自身は全く関知していない」と自身の関与を否定している。【森紗和子、平塚裕介、堀菜菜子、林大樹】