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2021年12月25日07時16分

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閣議に臨む岸田文雄首相(中央)=24日午前、首相官邸




 岸田文雄首相は就任後初めて編成した2022年度予算案で、自身が掲げる「成長と分配の好循環」実現に向け介護職員や保育士らの賃上げ、経済安全保障分野への投資などを盛り込んだ。来年夏の参院選を見据え「岸田カラー」をアピールする狙いがある。野党側は「成長の道筋が見えない」として、来年1月召集の通常国会で首相の認識を問う方針だ。


 「新型コロナウイルス対応に万全を期しつつ、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現していくための予算だ」。松野博一官房長官は24日の記者会見で、こう強調した。
 首相は予算案に、9月の自民党総裁選や10月の衆院選で訴えた政策をふんだんに盛り込んだ。分配の「目玉」は介護職員らの月3%程度の賃上げ。非正規労働者のキャリアアップ支援なども関連経費を手当てした。
 成長を見込む分野では、「経済安全保障」で量子暗号通信の研究開発やサイバーセキュリティー対策の費用を計上。政権の看板政策「デジタル田園都市国家構想」を推進するため、地方のデジタル基盤整備に取り組む。「科学技術立国」を目指し、科学技術振興費は過去最大の1兆3788億円となった。
 一方、首相は自民党本部で麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長とたびたび会談。党関係者は「首相は党側の意見をかなり取り入れてくれた」と明かした。党内の要求が強かった防衛費の増額もあり、一般会計総額は過去最大の107兆5964億円に膨らんだ。
 自民党の閣僚経験者は「成長と分配への予算が確実に措置された。参院選に役立てないといけない」と語った。公明党の石井啓一幹事長は会見で「コロナ禍で傷んだ生活者を支援し、日本を再生していく内容だ」と評価した。
 これに対し、立憲民主党の泉健太代表は会見で「積極的な財政展開は方向性としてはいいが、無駄が許されるわけではない」と指摘。同党の馬淵澄夫国対委員長は党会合で「成長の道筋が見えず、従来型の予算配分だ。再分配(の在り方)を見直す必要がある」と述べ、出席者に「通常国会でしっかり論戦を挑んでほしい」と呼び掛けた。