https://mainichi.jp/articles/20211227/k00/00m/010/311000c

毎日新聞 2021/12/27 19:36(最終更新 12/27 20:18) 有料記事 1059文字




 岸田文雄首相が、自民党内に強い影響力を持つ安倍晋三元首相との距離感に苦慮している。安定的な政権運営には、党内最大派閥を率いる安倍氏の協力が欠かせないが、外交や経済財政政策を巡る考え方に隔たりがあるためだ。「岸田カラー」の政策を打ち出したい首相にとって、安倍氏は煙たい存在なのか。

 「どうもありがとうございました」。臨時国会閉会後の23日、首相は頭を下げながら、国会内の安倍氏の議員事務所を後にした。地元広島の名産、カキのくん製を自ら持参する配慮を見せ、記者団に「年末のごあいさつだ。難しい話はない」と述べた。

 官邸関係者によると、話題の一つは、安倍氏が肝いりで導入した布マスク「アベノマスク」だった。首相は21日の記者会見で、保管料がかさむことを理由に「アベノマスク」の年度内廃棄を表明している。会見前に安倍氏に断りの電話を入れた首相だったが、周辺は「改めて対面で会い、廃棄に理解を求めるべきだと考えた」と明かす。

 安倍氏は最大派閥を率いるだけでなく、自民党の岩盤支持層の保守層への影響力も強い。首相が憲法改正に意欲を示し、ミサイル防衛力の強化に向けた「敵基地攻撃能力の検討」を明言するのも、安倍氏を意識しているためだ。

 だが、首相と安倍氏の間に「すきま風が吹き始めている」(党中堅)と指摘する声は絶えない。伝統的に「軽武装・経済重視」を志向する「ハト派」の宏池会(岸田派)を率いる首相に対し、清和研(安倍派)は「タカ派」の代表格だ。財政規律を気にする首相に対し、安倍氏は財…

この記事は有料記事です。
残り421文字(全文1059文字)