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毎日新聞 2021/12/28 08:41(最終更新 12/28 08:41) 665文字




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ニカラグア

 中米ニカラグア政府は27日、今月9日に断交した台湾の旧大使館施設を強制的に接収した。台湾外交部(外務省)が同日、明らかにした。ニカラグア当局は声明で、台湾を中国の領土とする「一つの中国」原則に基づき、台湾の関連施設の所有権は中国にあると主張。国交を回復した中国に旧大使館を引き渡す方針。台湾側は強く反発している。

 台湾の発表によると、ニカラグア政府は台湾に対し、23日までに外交官ら全職員を引き揚げるよう要求。台湾は前日の22日、現地のカトリック大司教区との間で首都マナグアにある旧大使館施設の寄贈に関する合意を取り交わした。



 だがニカラグア側は27日、旧大使館を強制接収した。同国の検事総長事務所は声明で「(台湾に)関連する不動産などの所有権は即座に(ニカラグアが)国家と認める中国にある」と強調。「いかなる取引の余地もなく、違法な主張をする者は法的措置の対象となる」と警告した。

 台湾側は「中国共産党政権はわが国の財産を継承する権利はない」と反論。断交した相手国の財産を保護するよう定めたウィーン条約の規定に反するとして、ニカラグアと中国を非難するよう国際社会に呼びかけた。



 ニカラグアの反米左派、オルテガ政権は1期目の1985年に台湾と断交して中国と国交を樹立した。しかし親米のチャモロ政権は90年に中国と断交し、台湾との外交関係を回復。2007年に政権に返り咲いたオルテガ氏は再び台湾と断交し、中国と国交を結んだ。直後に中国から100万回分の新型コロナウイルスワクチンの提供を受けた。【サンパウロ中村聡也、台北・岡村崇】