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毎日新聞 2021/12/28 09:33(最終更新 12/28 09:33) 594文字




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東京電力福島第1原発(奥)=8月、本社ヘリから

 東京電力福島第1原発でたまり続ける処理水の海洋放出を巡り、政府は28日、風評対策を議論する関係閣僚会議(議長・松野博一官房長官)を開き、今後1年で取り組む対策などを記した行動計画をまとめた。風評被害による損害賠償の手続きを簡略化するため、政府・東電は2022年中にも、漁業や農業など業種別に具体的な基準を定める。

 政府は23年春の海洋放出を目指している。風評被害の賠償に関し、東電は今年8月に農作物や水産物の市場価格などの統計データに基づいて、被害の有無を判断する方針を示していた。ただ賠償額の算定に使う基準は決まっていなかった。



 行動計画には政府・東電がこれから1年かけて、水産加工業や流通業や観光業といった業種別に、どんな統計データを参照するのかなど、地域や業種の実情に応じた基準を検討していくことが明記された。

 このほか、風評被害が生じた水産物の販路拡大などを支援するため、22年3月までに300億円規模の基金を創設することが盛り込まれた。国際原子力機関(IAEA)に22年末までに、処理水の放出手順の安全性や環境への影響を評価してもらい、中間報告書にまとめてもらうことも記された。IAEAの評価は、放出の開始後も長期にわたって続く予定だ。



 政府は今後、行動計画について自治体や関係団体に説明し、海洋放出への理解を求めていく。だが、漁業関係者らを中心に反対の声は根強い。【岡田英】