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毎日新聞 2021/12/28 19:00(最終更新 12/28 19:01) 738文字




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「桜を見る会」で、招待者との記念写真に納まる安倍晋三首相夫妻=東京都新宿区の新宿御苑で2019年(平成31年)4月13日、喜屋武真之介撮影

 安倍晋三元首相(67)の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、東京地検特捜部は28日、公職選挙法(寄付の禁止)違反容疑などで不起訴となり、検察審査会から「不起訴不当」の議決を受けた安倍元首相を再び不起訴処分(容疑不十分)とした。再捜査で前夜祭の参加者を幅広く事情聴取したものの、提供された食事が、会費を上回って寄付に当たると立証するのは困難と結論付けた。

 不起訴不当の議決は「起訴相当」の議決とは異なり、検察審査会が再審査して強制的に起訴する仕組みはない。安倍元首相に対する捜査は終結した。



 前夜祭は2013〜19年に東京都内のホテルで開かれ、会費は5000円だった。会費収入だけではホテルへの支払いが足りず、16〜19年分の差額計約708万円を安倍元首相側が補?(ほてん)した。この差額が有権者への寄付に当たる疑いがあった。

 寄付の禁止違反で政治家側を立件するには、有権者側に利益を受けたという認識が必要となる。告発を受けて捜査した特捜部は20年12月、参加者の一部を事情聴取し、利益を受けた認識を立証するのは困難として安倍元首相らを不起訴(容疑不十分)とした。しかし、東京第1検察審査会は21年7月、「一部の参加者の供述で参加者全体の認識を判断するのは不十分」として再捜査を求めた。



 再捜査は公訴時効(3年)を迎えていない19年4月開催分が対象となり、特捜部は1度目の捜査では事情聴取しなかった参加者に聴取の範囲を広げた。しかし、「会費に見合う食事の提供はなかった」などと利益を受けたことを否定する供述が相次ぎ、不起訴を覆すのは困難と判断した。

 安倍元首相は「厳正な捜査の結果、不起訴と決定されたものと受け止めています」とのコメントを出した。【志村一也、国本愛】