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毎日新聞 2021/12/28 19:13(最終更新 12/28 19:13) 1129文字




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東京地検が入る庁舎=金寿英撮影

 「桜を見る会」前夜祭の費用補填(ほてん)問題で、東京地検特捜部が28日に安倍晋三元首相(67)を再び不起訴(容疑不十分)としたことを受け、告発した市民団体からは「おざなりの再捜査だ」と批判が上がった。安倍元首相にさらなる説明を求める声も出た。

 午後2時過ぎ、特捜部は「再捜査を遂げた上、本日、不起訴処分とした」と記した前夜祭の再捜査に関する発表資料を報道各社に公表した。資料に安倍元首相の名前はなかった。その後の副部長による記者への説明でも「安倍議員は容疑不十分。再捜査で十分な証拠が得られなかった」と説明するのみで、再捜査での安倍元首相への再聴取の有無や、メールなどの客観証拠の収集などについての質問には回答を控えた。



 安倍元首相を刑事告発した「『桜を見る会』を追及する法律家の会」は「強制捜査を含む大規模かつ徹底的な捜査を行ったなどという情報に接したことはない。法的責任の所在が明確になるまで追及の手を緩めることはない」などとのコメントを出した。同会世話人の泉沢章弁護士は「我々は捜査の中身を知ることはできない。不起訴とレールが決まっているものを上塗りしたような再捜査だったのではないか。特捜部はもっと詳細に答えるべきだ」と批判した。

 安倍元首相は2020年12月の1度目の不起訴の際には記者会見を開いたが、今回はコメントの発表にとどまった。日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「政治家には説明をする義務があり、法的な問題とは別に、道義的問題も抱えている。疑惑があれば、有権者に対して体系的で論理立てた説明をすべきだ」と指摘した。【二村祐士朗、松尾知典】


「桜を見る会」前夜祭を巡る経過
2013年

4月   安倍晋三元首相が「桜を見る会」を開催。前日、安倍元首相の後援会が東京都内のホテルで前夜祭。以降19年まで開かれる

  19年

11月8日 参院予算委員会で共産党議員が、安倍元首相や閣僚が桜を見る会に自身の後援会関係者を多数招待しているのではないかと追及



  15日 安倍元首相が記者団に、前夜祭の費用は参加者の自己負担で、事務所の収支は一切ないと説明

  20年

5月21日 全国の弁護士らが安倍元首相らを刑事告発

8月28日 安倍元首相が体調不良を理由に首相辞任を表明

12月24日 東京地検特捜部が安倍元首相を不起訴処分、当時の公設第1秘書を政治資金規正法違反で略式起訴。安倍元首相は記者会見で「道義的責任を痛感」と謝罪

  21年

1月4日 市民団体が安倍元首相の不起訴を不服として検察審査会に審査申し立て

7月30日 東京第1検察審査会が安倍元首相の公選法違反の不起訴を不当とする議決を公表

12月28日 特捜部が安倍元首相を再び不起訴処分。一連の捜査が終結