2021/12/28 04:00

 戦後間もない1946年にラジオ講座「英語会話」が世間に広まったという。戦前の米国留学を経て、戦時中に日本の国際放送に携わった平川唯一(ただいち)さんが講師となり、親しみを込め童謡「証城寺(しょうじょうじ)の狸囃子(たぬきばやし)」に英語の歌詞を付けた。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の由来だ
▼主人公の安子があめを売りながらラジオの音が漏れる家を探し、英語を学ぶシーンがあった。多くの人が聴いた語学講座は、多メディア化した現在もNHKラジオ第2放送で続く
▼いつでも聴けるスマートフォンのアプリを使う聴取者が多い。「カムカム」と連携した英語講座やお笑い芸人サンシャイン池崎さんが出演する「小学生の基礎英語」など話題性はあるが、先行きは不透明だ
▼講座は英語以外にも9言語に及ぶ。ただ再放送が多く、週5回のハングルと中国語の中級講座は昨年3月で終了。古くからのリスナーが難民化した。NHKは中期経営計画で2025年度からAMラジオを1波に再編する方針を打ち出している
▼NHK広報部に聞くと「『残してほしい』という声が寄せられている。単純に廃止するのではなく、他の音声波で放送したりネットで提供したりするなど、利便性を損なわないよう留意しながら検討を進める」と答えた。ラジオ講座は費用をかけず、質の高い学習機会を毎日得られるのがメリットだ。ドラマと共に行く末に注目したい。(釜)

https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/141999