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2021年12月30日07時18分




 野党各党は1人区で候補を一本化して、自民、公明両党に対抗する構えだ。ただ、立憲民主党は執行部が交代したばかりで、先の衆院選敗北を受け、共産党との距離感も定まっていない。このため、野党間の調整は進んでおらず、当面先送りされる公算が大きい。
 「可能な限り一本化を目指していきたい」。立民の泉健太代表は24日の記者会見で、一本化に向けた野党各党との協議入りに意欲を示した。
 前回2019年の参院選では、立民、共産、国民民主、社民の4党が全国に32ある1人区で候補を一本化。このうち10選挙区で自民党候補を破った。今回も、自民党に競り勝つためには候補の一本化が必要との認識を、各党とも一定程度共有している。
 しかし、野党間で共闘に向けた調整は手つかずで、党本部レベルの協議すら表立っては行われていない。先月末に立民代表に就いた泉氏は、衆院選総括を来年1月に行うことを優先する考え。党の立て直しに向けて「丁寧に議論をする」(党関係者)といい、参院選の野党協議はその後に着手する方針だ。
 共産党との共闘をめぐっては、立民の支援組織・連合の芳野友子会長が「あり得ない」と厳しく批判。これに対し、共産党は先の衆院選で一定の成果があったとして、参院選でも継続するよう求めている。
 立民の出方が今後の焦点となるが、板挟みともいえる同党が野党共闘の枠組みをどう構築するのかは見通せない。そんな状況に、共産党は「立民の対応が遅い」として、独自候補擁立を急ぐ方針に転じた。
 野党内では一本化への温度差もある。れいわ新選組や社民党は候補一本化に前向きだ。
 これに対し、国民は共産党を含む野党共闘には一線を画す。議席維持を目指す山形、大分の2選挙区で野党各党との調整が課題だが、党内には「共産が立ててきたら戦うしかない」(幹部)との声も出ている。
 衆院選で躍進した日本維新の会は、参院選も野党共闘には加わらない。全国政党への脱皮を狙い、改選数2以上の選挙区で積極的に候補を擁立する方針。支持基盤の固い大阪、兵庫に加え、東京、神奈川、京都で候補擁立を急ぐ。1人区も擁立を模索しており、既に香川で新人を立てた。