2021/12/30 21:36


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政府がイノベーション(技術革新)向上の目玉に据えた10兆円規模の大学ファンド。世界トップレベルの研究力を目指す大学に国が運用益を配分する計画で、その額の大きさからも力の入れようが伝わってくる。来年度予算案に資金の確保が盛り込まれ、運用が本格化するが、それぞれの大学が手がける最先端の研究の将来性を見極め、どのように効果的な投資を実現していくかという課題もある。「科学技術立国」への道が開けるか否か、政府の戦略が問われる。

運用益を配分
大学ファンドは、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の成長戦略の柱の一つ。その運用益を、今後、指定されることになる「特定研究大学」に配分し、設備投資や人材育成といった大学内での研究環境強化につなげてもらう。10兆円規模の運用資金を想定していて、運用開始から5年以内に、年間3千億円の運用益を目指す。

ただ、国際的にみれば運用規模のインパクトはさほど大きくない。米国の名門大学では、大学ごとに数兆円規模のファンドを持つケースも多い。一方、国内でもファンドの運用を行っている大学があるものの、多くて数百億円規模にとどまるのが現実だ。

「米国などの潤沢な資金力に比べると、国内の研究現場は厳しい環境にある」と漏らすのは私大医学部に勤務する40代男性准教授。思うような研究を進めるためには、実験機材の購入や有力な研究者の確保が必要になるが、その資金は乏しく、増額もほとんど見込めない。大学ファンドに期待する一方で、「どのように運用益を配分するのかという具体的な制度設計を研究・開発の現場に示せなければ、(バブル経済崩壊後の)『失われた30年』と同じ失敗をすることになる」と危惧する。

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