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2022年01月04日07時25分

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豊島(名古屋市)が販売するトルコ産のオーガニックコットンを使ったサンプル品=2021年12月8日、東京都千代田区




 アパレル各社が、人権に配慮した服作りを強化している。背景には、中国・新疆ウイグル自治区での強制労働問題を契機に、ファッション分野が抱える社会課題に対する消費者の意識が急速に高まっていることがある。原材料から最終製品までアパレルの供給網は複雑だが、業界には責任ある人権への対応が問われている。


 ウイグル産の「新疆綿」をめぐっては、TSIホールディングスがすでに使用を中止。ミズノは代替素材への切り替えを決めた。三陽商会も、製品に使われていたのはごく一部だったが「人権侵害のリスクを拭い切れない」(広報)として今年の春商品から使用を取りやめた。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、原材料の調達を含めて強制労働の有無を自社などで調査できる体制づくりを目指すとしている。
 企業が人権重視にかじを切るのは、消費者や投資家の目が国内外で厳しくなっているため。過去には、縫製業者に多数の死傷者が出たバングラデシュのビル崩落事故で劣悪な労働環境が問題視され、海外大手アパレルに批判が集まった。ウイグル問題がこうした傾向に拍車を掛けている。
 ただ、天然素材の綿から最終製品ができるまでには栽培や紡績、縫製といった長い工程があり、適法性を全て把握するのは困難とされる。新疆綿に関しても「完全に取り除くには限界がある」(アパレル関係者)との声が上がる。
 一方、人権への配慮はアパレル各社の取引先にも広がる。帝人グループは毎年、国内外の取引先に対して児童労働が無いかなどを問うアンケート調査を実施。NGO(非政府組織)と協力して監査を行うなど、人権侵害に関与しない姿勢を明確にしている。
 繊維商社の豊島(名古屋市)は、農場から紡績まで一貫管理が可能なトルコ産オーガニックコットンを販売している。生産者を特定できるため「安全安心のメリットを提供できる」(同社)という。